木の家の台風対策

木の家は、台風の風圧や大雨の影響を受けやすい傾向があります。家と家族の安全を守るためにも、木の家を建てる際には十分な台風対策を行うことが重要です。

たとえ建築時に十分な台風対策を施していても、経年劣化などによりその効果が低下している可能性があります。家に住み始めてからも定期的な点検を行い、必要に応じて適切な補強工事の実施を忘れないようにしましょう。

当ページでは、木の家を建てる予定の方、すでに木の家に住んでいる方に向け、家の各箇所ごとに具体的な台風対策をご紹介します。

【箇所別】木の家の台風対策

木の家の台風対策として、家を建てる前に行うべきこと、住み始めてから行うべきことのポイントをまとめました。専門業者にも相談し、万全の台風対策を行いましょう。

基礎と土台

まず重視したいのが基礎と土台。家を建てる前にはしっかりと地盤調査を行い、台風による影響に備えて必要に応じた地盤改良工事を行うのも効果的です。

地盤改良工事を行うことで基礎が安定し、台風の大雨による地盤沈下を防ぐことができます。確実に地盤沈下を防げれば、基礎と土台の連結部分にズレや乖離が生じるリスクも低減されるでしょう。

また、家を建てた後も定期的に基礎・土台の点検を行い、ひび割れや連結部の不具合の有無を確認することが重要です。万一問題が見つかった場合は、速やかに補修を行い、将来の台風に備えるようにしましょう。

構造

台風による強い風圧に備えて、建物の構造をしっかりと補強しておくことも大切です。

補強のポイントは「筋交い」と「耐震金物」の2点。まずは筋交いの数を追加して建物の横方向の強度を高め、かつ建物に対して斜めに設置して風圧への強度を高めます。

また、柱と梁の接合部を強化するために耐震金物を使用します。耐震金物をしっかりと装着することで、台風の風圧による揺れ、揺れに起因する建物の損傷等を防ぐことができます。

屋根

屋根の強度が不十分な場合、台風によって飛ばされてしまう恐れがあります。風雨が屋内に侵入するだけでなく、飛ばされた屋根材が周囲に二次被害を及ぼす可能性もあるため、あらかじめ十分な台風対策を講じておくことが極めて重要です。

屋根の強度を高めるためには、定期的に屋根の点検を行い、緩みや破損が見つかった場合には適切に修理を行うことが基本です。屋根材の固定も確認してもらい、必要があれば釘やビスを追加して十分に固定しましょう。

窓とドア

窓やドアも、台風による被害を受けやすい箇所のひとつです。破損すれば、激しい風雨が屋内に入り込んでしまうため、事前に十分な対策を行っておきましょう。

雨戸が設置されていない場合や、強度が不十分、もしくは既に破損している場合には、風圧や飛来物から窓やドアを守るために暴風シャッターの設置が有効です。暴風シャッターは簡単に取り付けることができます。

また、念のため窓に暴風ガラスや強化ガラスを使用することもおすすめ。一般的な窓に比べ、風圧にも衝撃にも強いので割れの防止になります。

排水

台風による大雨の影響で排水が滞り、水が溜まって水害が発生する可能性があります。これは台風時に限らず、集中豪雨などでも起こり得るリスクです。

対策の基本は定期的な排水設備の点検です。排水溝やドレインの詰まりの有無を確認し、スムーズに水が流れるよう内部を清掃します。

劣化した箇所から雨水が浸水すると建物の下部には水が溜まりやすくなります。特に地下室のある家では、あらかじめ防水工事を実施しておくことを推奨します。また、住宅地一帯に水害が発生した場合に備え、事前に土のうや防水シートを用意しておくと良いでしょう。

家の周囲の整備

台風の風圧で庭木が倒れないよう、定期的に剪定を行いましょう。樹木の株が老朽化している場合には、専門業者に依頼して根元から伐採してもらうことも検討が必要です。また、近隣の街路樹に倒木のリスクを感じた際は、あらかじめ所管する自治体などへ連絡しておくことが大切です。

また、古くなったフェンスや塀が台風で倒れる恐れもあるため、事前に固定具合の確認や、不安がある場合には業者に補強工事を依頼するとよいでしょう。

次の被害は自宅かもしれないと想定して万全の準備を

木の家を希望している方、および、すでに木の家に住んでいる方に向け、家の各箇所ごとの台風対策をご紹介しました。

例年、大なり小なり日本のどこかでは台風の被害が発生しています。考えたくはありませんが、次なる被害が自宅になる可能性もゼロではありません。起こりうる現実的なリスクを想定し、専門業者と相談の上、十分な台風対策を行うことが大切です。

なお、木の家に限りませんが、台風の影響による停電や孤立のリスクに備えておくことも大変重要です。水や食料などのローリングストック、懐中電灯やバッテリーの常備など、緊急時に対応できるよう、日頃からの備えもしておくと安心です。