木の家に見られがちなデメリットの1つとして、虫の発生があります。
ただし、建材となる木の中には、虫の嫌がる芳香成分が含まれているものもあることから、一概に「木の家は虫が繁殖しやすい」とは言いきれません。
虫の被害から家や家族の健康を守るためには、木の家に発生しがちな虫の問題を正しく理解することが大切です。建築時、そして住み始めてからの対策を十分に行いましょう。
木の家に発生する虫問題としてシロアリが一般的に知られていますが、実際にはシロアリだけではありません。
虫が家にもたらす被害について見てみましょう。
木の家に被害をもたらす虫の代表がシロアリ。シロアリは木を主食とする虫のため、一度家の柱や土台などに侵入すると、年月をかけてじわじわと木でできた構造部分は食べられ、やがて家全体が弱体化する恐れがあります。シロアリの発見が遅れると、家の構造に深刻な被害を及ぼすことがあるため、木の家を建てる場合は十分な対策が必要です。
シロアリ以外で家に被害をもたらす可能性のある虫としては、キクイムシやシバンムシがいます。
キクイムシとは、木をエサにする代表的な虫。キクイムシが食べた木には細かい穴がたくさん残るため、柱や床下等がキクイムシに侵された場合、シロアリと同様の被害が発生する恐れもあります。
シバンムシもまた、木を好んで食べる虫。繁殖力が非常に高いため、初めは一匹だけの侵入でも、早いスピードで浸食されてしまいます。
衛生害虫とは、細菌等により人の体に直接被害を与える虫のことです。湿気が多くなりがちな木の家には、衛生害虫が発生する可能性も高くなるため、木の家を建てる際には何らかの対策を取るべきでしょう。
もっとも代表的な衛生害虫がゴキブリ。食品や食器などの上を直接走行した場合、健康被害の懸念がある菌が付着する可能性があるため、多くの家庭で対策が講じられていることでしょう。また、その見た目に対する不快感そのものが、多くの人にとっての被害の1つではないでしょうか。
ゴキブリ以外に、ハエも代表的な衛生害虫の一種。大腸菌やサルモネラ菌、黄色ブドウ球菌など、人体に有害な菌の媒介となることがあるため、可能な限り防虫・駆除することが望まれます。
木の家における虫の被害を抑えるためには、建築時の対策と入居後の対策の両方を講じることが効果的です。
ここでは、建築時に実施すべき対策と、入居後に行うべき対策について見てみましょう。
柔らかい木に比べ、堅い木は虫に食べられにくい傾向があります。床下や柱など、虫が発生しやすい部分においては、ケヤキやスギ、カヤなどの堅い木を採用することで虫の被害を抑えられるでしょう。
また、木の家に被害をもたらす虫は、湿気を好む傾向があります。床下など、湿気のこもりやすい場所は通風を良くするなど、設計上の工夫も虫の抑制につながります。基礎部分に防蟻処理を施したり、防湿シートを敷くなどの対策も効果的です。
設計会社やハウスメーカー等に相談し、地域性も考慮した虫対策を行ってもらいましょう。
湿気が多くなる季節には除湿器を使用するなど、なるべく屋内に湿気をこもらせないような対策が有効です。また、ゴキブリ等の発生を抑えるためには、食べこぼしや水滴など床へ残したままにせず、こまめに掃除することも大切です。ゴキブリは野菜の切れ端などの生ごみを好むため、これらは袋で密閉し、蓋付きのゴミ箱に廃棄することが望ましいでしょう。
可能な限りの対策を講じてもなお、シロアリやゴキブリなどの発生を抑えられない場合には、害虫駆除の専門業者に相談することも有効な手段です。
木の家に発生しがちな害虫の種類、および発生を抑えるための対策についてご紹介しました。
たとえ木の家であっても、建築時に十分な対策を行えば、虫の発生を大きく抑えることが可能です。ただし、鉄筋コンクリート造のマンションなどに比べれば、木の家は虫の被害を受けやすいことも確かです。
建築時と住み始めてからの対策に加え、十分な湿気対策と日常的な清掃を徹底し、可能な限り家に被害をもたらす虫の発生を抑えるようにしましょう。