木の家をたてるときには、注意しなければならないデメリットもあります。まず思い浮かぶのが、地震や台風の災害。そしてシロアリなどの虫食いや、寒冷地では寒さを心配される方もいらっしゃるでしょう。懸念点とその対策を理解することは、納得のいく家づくりに大切なこと。ここでは木の家のデメリットの詳細と対策を紹介します。
人にとって安全で快適な木の家は、虫たちにとっても居心地のいい場所です。
特に心配されるのが、シロアリによる被害。被害が進むと木を痛め、耐久性・耐震性の低下をもたらします。湿った環境を好み春から初夏にかけて羽アリとなって飛ぶ以外はひっそりと見えない場所で木を食べ続けますから、注意が必要です。
シロアリは光や乾燥が苦手で、床下に住む虫。ベタ基礎構造の家が増えてきてから被害の心配は減少しているものの、築年数が新しい家でも油断は禁物。家のなかが高温多湿にならないように気を配ることが大切です。シロアリの好む環境をつくらないことで、侵入を防ぎましょう。そのために空気循環がいい家や調湿機能の高い家を選ぶのもいい選択ですね。
またキクイムシやシバンムシは、市販の殺虫剤などで対策が可能。殺虫剤の使用を避けたい方は、虫が発生しにくい熱処理された木材を使うのもおすすめ。また天然のヒバ油は殺虫効果があり、虫の侵入口に塗布することで被害を減らすことができます。自然素材に精通した工務店やハウスメーカーのなかには、適切に木材を扱い家をたてることで床下の湿度をコントロールして、炭や鉱石由来の防虫剤でシロアリを防いでくれるところもあります。地域でこういった自然の素材を使った木の家を得意としている工務店・ハウスメーカーに話を聞いてみるのもいいですね。
地震大国の日本。木の家はすぐに倒れそうで怖いと思われる方も多いようです。
地震エネルギーは建物が重ければそれだけ大きい力がかかります。現代の工法では軽い屋根や建材を使用することで家そのものをぐっと軽くし、地震の被害に備えることが可能。また基礎を頑丈に作ることも重要です。地震に対する建物の強度を示す指標である「耐震等級」を目安にして、地震への耐久性をテストしている会社もチェックしてみましょう。しっかりと説明を受け、安心して木の家をたてられる工務店・ハウスメーカーを見つけることが大切です。
また松や檜など耐久性に優れた木材を構造材に使うのもひとつの対策。家の強さにかかわってくる構造材選びですから、自分たちでしっかりリサーチして、どこにどんな木を使えばいいか計画をたてておくといいでしょう。そのうえで、木の家での実績が豊富な工務店・ハウスメーカーと相談すれば、長く幸せに暮らせる木の家をたてられます。
日本で地震についで被害が多いのが台風。突風により家がきしんだという経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?台風で崩壊しやすい家の特徴は、基礎が悪い・柱や梁が細い・窓ガラスが薄いなどがあります。しっかり対策することで台風に強い木の家を実現することも可能。特に台風による家の被害では、屋根が壊れることが多いので、屋根材の固定は忘れずに。
木の家は台風の時にきしんだり、しなったりすることがあります。木材は乾燥が進むにつれて硬くなり強度が上がりますが、同時にしなやかさも持っています。枝を曲げるとしなやかに曲がり、ある程度の角度にならないと簡単に折れないのが木の柔軟性。このしなりは台風のときに、倒壊を防ぐ働きがあります。
四季が楽しめる日本では、冬の寒さと木の家の関係も気になるところ。マンションやアパートなどの集合住宅では周囲も暖房を使用するので全体的に暖まりますが、一戸建ての住宅はそれが望めません。また築年数の古い木の家も、断熱材の品質や窓ガラスの構造により寒さを防ぐ力が弱いのも事実。これではせっかく暖房を使用してもコストばかりが増えてしまいます。
ところが最近の住宅事情は大きく変化。熱伝導の低い木は、一度暖まると冷えにくいという特徴が活き、機密性や断熱性がぐっと上がりました。床・壁・屋根にそれぞれ適した断熱材を使用して、複層ガラスにすることで電気代の節約も可能。
家をたてる地元の工務店やハウスメーカーであれば、その土地の風土を理解しているので適切なアドバイスもしてくれるでしょう。
木の家はお手入れが大変そう。お気に入りの木の家をたてて「キズがついたらどうしよう」と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。大切なのは小まめなお手入れ。どんな家でも長い間必要なメンテナンスをしなければ、結果的に費用がかさむことも。
自然素材の家はご自身で簡単にお手入れできる部分がほとんどです。例えば無垢材の小さなキズやシミは紙やすりで目立たなくする、塗り壁の汚れは消しゴムで落とすなど。身近な道具を使って自分で家をメンテナンスする楽しみを見つけるのもいいですね。自分でできる範囲外のものや、お手入れが苦手な方はプロにお任せするのもいいでしょう。
コンクリートや鉄筋と比べると、木の家は劣化も気がかりです。自然の素材なので、長く住んでいると反り返ったりひびが入ったり隙間やねじれができることも。これは製材の段階で乾燥が十分でなく、家をたて終わってからも乾燥が進むことで起きてしまう現象。せっかくたてる家ですから、乾燥が不十分な木材を避け急速な劣化を防ぎましょう。そのためには工務店やハウスメーカーが、どのように製材された木材を使用しているか、木材の含水率はどの程度なのかをきちんと確認することが大切です。
時間の経過とともに劣化するイメージの木の家ですが、腕のいい大工さんがたてたお寺などは何百年も健在です。確かな技術と質の良い木材を使用すれば長持ちし、経年変化も楽しめるのが木の家。納得いくまで話し合いながら長く住める木の家をたててくれる工務店・ハウスメーカーを見つけてみてください。